八名地区に伝わる昔話です。あなたの地元にも今まで知らなかった昔話が伝えられてきたことが分かりますよ。
   
 八名の昔話
   
富岡地区
 
   と げ () き の (みょう) (やく)  

 富岡に「(うめ)さ」という人がありました。この人がフナを()ってきて,くしにさしておいたら,ヘビがやってきて,くしさらのんでしまいました。「梅さ」は,くしまでのんでしまってどうするだろう,と思って見ていると,ヘビは竹やぶに入って,ある草の葉を食べました。そうしたら,くしがみごとに抜けて出てきました。
 そこで梅さは,「これはきっと,この草でとげ抜きの薬を作ったらよかろう。」と思いつき,さっそく作って売り出しました。これがまた妙薬で,どんなとげでも抜けてしまうと評判(ひょうばん)になりました。梅さは,「とげ抜きの梅さ」とよばれ,家伝(かでん)の妙薬となりました。