八名地区に伝わる昔話です。あなたの地元にも今まで知らなかった昔話が伝えられてきたことが分かりますよ。
   
 八名の昔話
   
庭野地区
 
   う で こ き 山  

 むかし,昔,ほんとに大昔のこと。神様がたが,まだ日本の国の山や川や(みずうみ)や島などを,一生けんめいつくっていらっしゃったころのことです。
 天の神様が大勢(おおぜい)の神様に,
「だれか,日本一に高くてすばらしく立派(りっぱ)な山をつくってくれるものはないか。」
とおたずねになりました。
 すると,体のずばぬけて大きく,力もちの神様が進み出て,
「そんなことならおやすいご用です。どうか,わたくしにやらせてください。すぐにでもつくってごらんにいれます。」
と言って,仕事に取りかかりました。
 それからその神様は,近江(おうみ)の国から土を運んで,駿河(するが)甲斐(かい)国境(くにざかい)に,世界にもないほどの立派な山を作りました。その山が名高い富士山で,土を()ったところに水がたまって,琵琶湖(びわこ)になりました。
 このとき,両方の(うで)についた(どろ)をかきとって,くりくりと丸めてぽいと投げたら,小さな山ができました。だから,このやまを「うでこき山」といいます。