八名地区に伝わる昔話です。あなたの地元にも今まで知らなかった昔話が伝えられてきたことが分かりますよ。
   
 八名の昔話
   
庭野地区
 
   鍾乳洞(しょうにゅうどう)()(さず)けの(うす)  

 この鍾乳洞はな,春吉さんが見つけたということじゃ。ある時,(こい)をとりに桜淵(さくらぶち)に行ったらな,たくさんとれたもんで,日なたぼっこをして休んどったんじゃ。そうしたら,耳元で,バタバタ音がするんじゃ。コウモリの羽音(はおと)かなんかじゃったんだろうなあ。何があるんだろうと思ってさがしたら,鍾乳洞があったというわけじゃ。
 それで,日貝野(ひがいの)の人たちは,鍾乳洞の中に道をつけて見学できるようにしたそうじゃ。絵葉書(えはがき)まで作ったそうな。そうして,見に来た人に,法被(はっぴ)を貸したり,ぞうりやろうそくを売ったこともあったということじゃ。
 そうそう,右側の一番(おく)に,直径(ちょっけい)1メ-トルくらいの石臼(いしうす)のようになったところがあるけどな,そこは,子授けの臼といってな,子どもがほしい人がそこに入ると,子どもが授かるということじゃ。いっぺん行ってみるがいいわ。