八名地区に伝わる昔話です。あなたの地元にも今まで知らなかった昔話が伝えられてきたことが分かりますよ。
   
 八名の昔話
   
中宇利地区
 
   小やんくぼとビクニ城の井戸  

 ビクニ城の南に,小やんくぼと呼ばれているくぼがあります。今は何も残っていません。
 昔は,女の人の生理(月経(げっけい))のことをコヤといいました。コヤとは小屋のことで,月経になると(よご)れているといって,別屋になっている「小屋」へ入り,物忌(ものい)みの生活をしなければなりませんでした。だから,小やんくぼにはきっとそのための小屋があって,月経になったときや,お産をするための産屋(うぶや)にも使われたものでしょう。月経やお産がすむと,コヤガリ(小屋あがり)とよばれている近くのきれいな流れでもく(よく)をして,心身をきよめてから家に帰り,普通の生活にもどるというわけです。
 また,ビクニ城の井戸といわれている井戸が山頂の近くにあります。ここではどんな(いくさ)があったのか,さむらいたちが籠城(ろうじょう)に備えて()ったものか,何ひとつわかりません。掘り()きの深い(あな)も今は土で()まってしまい,上をおおっているしだをかきわけてみますと,わずかに井戸の面影(おもかげ)をとどめています。