八名地区に伝わる昔話です。あなたの地元にも今まで知らなかった昔話が伝えられてきたことが分かりますよ。
   
 八名の昔話
   
黒田地区
 
   (つね) 右 () (もん) の お (はか)  

 過酷(かこく)年貢(ねんぐ)を少しでもへらして、農民を助けようと、藩政(はんせい)にそむいて、直訴(じきそ)した人のお墓が黒田の地内にある。人々が常右衛門とよんでいる人である。
 家は断絶(だんぜつ)し、血縁(けつえん)もなくなってしまった人だけに、今は知る人も少ない。子どものころおじいさんから聞いた話によると、いつのころか定かではないが、時の年貢の4()(しょう)を3斗6升にさせることに成功したということである。

 藩政に(しいた)げられてきた当時の農民の悲願(ひがん)()げさせた中心人物であろう。

 今は、無縁仏(むえんぼとけ)同然のようなお墓であるが、黒田の黒田運美(かずみ)さんの家では、そのお墓の供養(くよう)を続けている。