八名地区に伝わる昔話です。あなたの地元にも今まで知らなかった昔話が伝えられてきたことが分かりますよ。
   
 八名の昔話
   
一鍬田地区
 
   森 の 石 松 の 子 守 り (ぼう)(こう)  

 森の石松は、富岡の堀切(ほっきり)で生まれた。貧しい農家の子どもで、ぼくの家に子守奉公に来ていた。
 ぼくの家はそのころ、一鍬田でも指折(ゆびお)りの財産家(ざいさんか)で、お金持ちだったらしい。

 石松は、子どもの世話、せんたく、そうじなどをやっていたそうだ。屋根裏(やねうら)寝泊(ねと)まりしていた彼は、よく寝小便(ねしょうべん)をしたそうである。

 青年になった石松は、車引きをしていた。今でいう運送屋のようなものである。大変力が強かったので、車引きにもむいていた。

 それからやくざになっていったようだ。けんかをして、追っ手に追われたとき、小林清次郎さん方へ逃げてきて、かくれていたこともある。

 これはなくなった祖母から聞いた話である。