薬師如来収蔵庫と薬師堂

 国指定重要文化財の薬師如来は,右の薬師堂に保管されていましたが,昭和49年に収蔵庫が完成し,移されました。
 
 
        市指定文化財 薬師堂

 薬師堂は宝形(ほうぎょう)造り(屋根に棟がなく一点に集まっている形式)の瓦ぶきの小堂で,風格があります。また,この堂は全体が一本の松の木で造られたと伝えられています。
 
 
        重文 薬師如来座像

 平安時代に繁栄した大脇寺の本尊で,「庭野のお薬師さま」として親しまれています。嘉応3年(1171年),仏師頼与(よりよ)の作で,アスナロ材の一木(いちぼく)造り(首と胴体が一本に木で造られる)です。
   
 
 
               薬師如来座像

 お薬師さまは,昔から病気に悩む人に信仰され,特に眼病に効果があると信じられ,ひらがなの「め」の字を年の数だけ連続で「め」と大書して,治癒を祈願するとよいとされています。
  
 
 
          薬師如来座像

 昭和28年に解体修理がなされ,その時,頭部の内側に銘文が発見され,制作年代と作者が明らかになりました。その時,後背(こうはい),台座,薬壺(やっこ)が作り変えられました。

  
 
     
          薬壺(やっこ)

 薬の(つぼ)で,昭和28年に作りかえられたものです。薬師如来は,前後の厚みが薄い姿で,衣の線も穏やかな浅い切り口を示していて,平安時代後期の像に共通した特徴だそうです。
 
 
         十二神将像(左側)

 薬師如来の左右両脇に6体ずつ置かれています。甲冑(かっちゅう)に身を固めた武者姿で,頭上に動物(十二支)をのせていますが,破損がひどく,手に持つ武器はほとんど残っていません。
 
 
         十二神将像(右側)

 像の高さは40㎝ほどで,江戸時代の作と伝えられています。表情に激しさや恐ろしさといった印象はほとんどなく,むしろ,あどけなさが感じられる像です。